皆さん、こんにちは、こんばんわ、代表の前田です。

昨日(1月21日)、マイクロソフトによる「Windows 10」についての説明会が開催され、その中で「Windows 10発売から1年間は、Windows 7/8/8.1のユーザーに対して無償でアップグレードを行なうと発表されました。

これはなかなか凄いことですよ。

マイクロソフトは、Windows 95~XP の大成功でパソコンOS市場に大帝国を築きました。ところがインターネットの時代になって戦略を見誤り、グーグル や ヤフー などのネット企業に先を越されてしまいました。

モバイル市場でも グーグルの “Android” や アップル の “iPhone” に遅れをとる形となって、苦戦を強いられています。

しかもそんな中リリースされた最新の Windows 8 と Surface は大コケ、一般PC利用者のマイクロソフトへの期待は下がり続ける一方です。

そこでマイクロソフトは、これまでのスタイルに固執するのをやめて、新しいビジネスモデルへの改革を進め、アップル・グーグル勢に対抗しようと必死になっているわけですよ。

Windows 10 が実際使いものになるのかどうかまだ分かりませんが、少なくとも Windows 8 よりかはまともなコンセプトになっているように感じます。

技術力という観点での解説

さて、ここまでは一般的なニュースサイトにも掲載されている内容です。以降は、ソフト開発会社らしく、マイクロソフトの持つ技術力という観点で「なるべく分かりやすく!?」解説してみたいと思います。

2014年11月、マイクロソフトは「.NET 2015」という新しい技術基盤を発表しました

これがまた凄い内容でした。

マイクロソフトの技術動向には、2012年頃より注目していましたが、ここまでワクワクするような発表は久しぶりです。

.NET とは

.NET(ドットネット)といえば、2002年頃から続くマイクロソフトの技術基盤の総称であり、今回の .NET 2015 もその延長線上にあるものです。この業界ではそれなりに古くからある技術です。 →Wikipediaの詳細説明

要するに、「パソコンソフトやシステムを開発するために開発者が利用する基盤技術」というような位置づけのものです。

当然、マイクロソフト製の技術でありますから、Windows でしか利用できない技術でした。

また .NET 技術はパソコンソフトだけでなく、ウェブシステムにも対応しています。(ASP.NETと言います)

でも標準的な開発方式ではなく、マイクロソフト独自のパソコンソフト的な開発方式になっています。(WebFormsと言います)

そのため一般のウェブ開発者からは「気持ち悪い」「変態的」などと嫌われてしまって(笑)、しかも高価な Windows サーバーが必要なので、あまり普及していません。僕も大嫌いです。

世界で最も使われているのは Java

ところで、.NET に対して、今もっとも世界中で使用されている基盤技術として「Java」が筆頭にあげられます。→Wikipediaの詳細説明(ちなみに Java Script という技術を聞いたことあるかも知れませんが、こちらは名前は似ていますが Java とは全く関係のない、別の技術です。ややこしい〜) 

Java は、Windows だけでなく Mac や UNIX 系サーバなど、他の OS でも利用可能なオープンな技術です。なんと、誰でも無償で利用できます。(今ではオープンかつ無償が当たり前になってきていますが、当時はメーカー系の技術といえば基本的にクローズドで有償でした)

OS に依存しないためネットとの相性がよく、無償のサーバ OS との組み合わせで大幅なコスト削減が可能になることから2005年頃より一気に普及しました。

現代の大企業の業務システムで Java を利用していないところはないと言っても過言ではないでしょう。

そうそう、グーグル製のスマホ OS である Android も Java の技術を応用して作られているんですよ。大規模システムからモバイル OS まで、凄い普及率ですよね。

.NET のオープン化

で話を戻して「.NET 2015」の凄いところは、開発チームを完全オープンにし、さらにコア技術を切り出して、Java のように Mac や UNIX 系の OS でも動くようにする、と発表したことです。(.NET Coreと呼ばれています)

これまでも、.NET の互換技術がオープンコミュニティの有志によって開発されていましたが、2012年にマイクロソフトが正式に提携を発表し、ザマリンという会社が主になってオープン化に向けて開発が活発化していました。(monoと言います)

実際に、iPhone や Android 向けのスマホアプリを .NET 技術を使って開発することも可能になってきています。

また、標準的なウェブの開発方式にも対応し、2012年頃より実用段階に入っています(ASP.NET MVCと言います)。余談ですがこれはネオジニアのウェブ開発で主に使用している技術基盤でもあります。

多分野への展開と開発スピード

そんな感じでザッと紹介してきましたが、その他にも「.NET 2015」の構想では、競合技術の良い所を吸収して(パクって)いたり、.NET が苦手としている分野(競合しなかった分野)を克服するための改革がいくつも含まれています。

最近の .NET の開発スピードは非常に速く、各分野で先行する技術に追いつけ追い越せのリリースサイクルであり、その必死さがひしひしと伝わってきます。

近い将来 .NET は、これまでのマイクロソフトお抱えのクローズドな Windows 専用技術とは一線を画す、全く新しい汎用的でオープンな技術基盤に生まれ変わろうとしています。

つまり、進化の停滞している Java や、流行のウェブ開発技術に今後取って代わる可能性も十分に考えられるわけです。

さぁ、2015年、マイクロソフトの巻き返しなるか!?

IT技術者は、今度のスキルマップを再考せざるを得ない段階に入ってきたと言えそうです。

楽しみですね!