創業への想い
私は「だんじりの町」で知られる大阪府岸和田市に生まれ育ちました。
幼少の頃はレゴブロックが特に大好きで、自分のイメージしたものをブロックを上手く組み合わせて作りあげる、ということに楽しさを感じ、毎日熱心にガチャガチャとやっていました。
小学校高学年の頃から、メカやコンピュータゲームにも興味を持ち、機械仕掛けで動くものならなんでも、その仕組みがどうなっているのか知りたくて、ドライバーでネジをはずして分解しては、母親に怒られる、ということがよくありました。
進学には興味がなかったので、高専の電子情報工学科へ入学し、電子回路と情報処理の基礎を学び、実験や実習を通して、ハードウェアよりもソフトウェアに興味を持つようになりました。
コンピュータひとつあれば、自分のイメージした仕組みを自由に何でも作り出せ、動かせるということに、無限の可能性を感じたからです。
高専卒業後、大阪のソフトウェア開発の会社へ就職し、2年目の冬ごろに知り合いのつながりで、ベンチャー企業へ入社しました。
そこでは、自社パッケージソフトの企画開発をしながら、SI(企業の業務システムをイチからオーダーメイドで作り上げるサービス)の案件を多くこなして来ました。
今だから言えますが、SIの開発現場は、本当にイヤでイヤで仕方がありませんでした。
なぜなら、全然面白くないからです。
本気で頭をひねって、良いシステムを作ろうと思っている人が、ほとんどいないからです。
作り手である現場のエンジニアは、なんのためにシステムを作っているのか、本当の目的をほとんど理解していなかったり、発注者であるユーザ企業の担当者は、IT化を機械化と勘違いし、古い業務プロセスや固定観念を改善する発想を持ち合わせていなかったりで、結局出来上がるのは、何だかよくわからない、使いにくいシステムで、それを指摘すると経営層から責任をなすりつけられるので、失敗だとは誰も言わないまま、うやむやにされてしまいます。
逆に、ソフトウェア開発の仕事を通して、自分の仕事に対するスタンスや日本の産業構造のありかたを見つめ直すキッカケになりました。
なぜ、この仕事は面白くないのか。
突き詰めて考えていくと、やや極端な例ではありますが、上司の顔色をうかがうのが仕事になっており、自分の信念をもっていない人や、自分を守るためや利益のためなら、他人に迷惑をかけても仕方がないと思っている人や、良い仕事を成し遂げるにはどうしたらいいか、お客さまに喜んでもらうためにはどうしたらいいかなんていう発想すらない人が、残念ながら一部に存在しているということです。
私の理念は、
「決して利己的にならず、社会のために役に立つことを実行し、これはSI開発の仕事だけでなく、世間一般に共通して言えることかも知れません。誰もが善く生きられるようにしたい、その結果、自分も善く生きられる」
ということです。まずはこの理念に賛同していただける仲間を集め、ITを通して、少しずつでも皆さんのお役に立てばと思い、この会社を創業いたしました。
2012年7月6日 株式会社ネオジニア 代表 前田渉